南洋にうかぶ連合艦隊の前進根拠地、トラック諸島
太平洋戦争初期、トラック諸島は連合艦隊の南方作戦根拠地として、またラバウル方面航空作戦の後方拠点として重要な役割を果たしました。しかしガダルカナル島撤退以降、その存在価値は急速に失われていくこととなります。
【 デザイン解説 】 1943年(昭和18年)8月、哨戒任務を終えて夏島水上機基地に帰投する902空の零式水上偵察機を想像で描いています。色調イメージは戦前のカラー絵葉書を意識しました。帰投機は胴体下に対潜爆弾を装備したままで、会敵が無かったことを示しています。 立ち上がって前方確認する偵察員、機体収容に待機する整備兵たち、出迎える飛行士官にもどことなく余裕が感じられ、美しい南洋風景に漂うのは「嵐の前の静けさ」か?わずか半年後、大空襲を受けることになろうとは誰も想像できなかったことでしょう。
1943年(昭和18年)11月~翌年2月にかけて、ギルバート諸島・マーシャル諸島をめぐり日米航空兵力が激突しますが、海軍航空隊は甚大な被害を被って敗退、同方面での制空権をほぼ失ってしまいます。危機的状況の中、2月10日、連合艦隊主力はパラオ、内地方面へと避退。そして1週間後の2月17、18日の両日、米第58任務部隊艦載機約600機による大空襲を受けたトラック島は壊滅状態に陥り、前進基地としての価値を完全に喪失することになります。